くすりを使いこなす26 ： NSAIDsの薬効薬理

摘要

Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs (NSAIDs) の有害事象といえば胃腸障害が代表的であり，そのほかにも腎機能障害，肝機能障害，血小板活性化阻害， 中枢神経系作用および発疹など多岐にわたる（表1)。 そのなかでもNSAIDsの重要な有害事象といえば胃 粘膜上皮細胞でのシクロォキシゲナーゼ（COX)-1阻 害によるプロスタグランジン（PG)I2やPGE2減少に よる消化管粘膜障害が挙げられる（図1)。そのため， ヒト医療および獣医療でもセトラキサート塩酸塩製剤 など消化管粘膜保護剤を併用して処方する機会が多 い。ちなみに本学附属動物医療センターでは人体用の ノィエル細粒40%を用いているが.ヒト医療では胃潰 瘍の予防薬として.PG製剤，プロトンポンプ阻害薬， 高用量のH2受容体拮抗薬などが使用されている。牛 によってはNSAIDsを処方して投与翌日に消化管粘 膜障害を発症する個体から，まったく有害事象を示さ ない個体までいる。今回はNSAIDsに共通する一般的 な有害事象について紹介し，いかに有害事象を発症することなく抗炎症を得るかを考えてみたい。