展着剤を加用したブプロフエジン剤のウメシロカィガラムシ およびクヮシロカィガラムシに対する防除効果

摘要

果樹では様々なマルカイガラムシ類が問題となる。例えば，スモモPrunus salicina Lindl.ではウメシロ 力ラムン(以下，ウメシロ) Pseudaulacaspis prunicola (Maskell)(カメムシ目：マルカイガラム シ科）（河合，1980)，キウイフルーツActinidia deliciosaおよびA. chinensis等ではクヮシ口カイガ ラムシ(以下，クヮシ口) Rpentagona (Targioni) (行成，1989)，モモAmygdalus persica L.ではウメ シ口とクヮシ口が混発している事例もある（木村ら， 2016;瀧田ら，2012)。これらのマルカイガラムシ類 は幹や枝に寄生し，多発すると枝の枯死ゃ樹勢低下を 引き起こすため生産現場では大きな問題となる。両種は酷似しており，いずれも雌成虫の介殻は直径2mm 程度の白色円形である。いずれも成虫越冬で，ウメシ 口は年2-3回（河合.1980),クヮシ口は福岡県で は年3回発生する（吉岡ら，2010)。これらのカイガ ラムシ類に対する防除は通常，歩行幼虫発生時期に薬 剤を散布する。両面テープを枝に巻き付けて，捕獲さ れた歩行幼虫数を目視で確認することにより防除適期 を把握できる（新井，2007)が,労力を要する。また, クヮシロでは薬剤感受性の高い防除適期が2-3日に 限られ（小澤，2012),天候等によっては適期防除が 困難な場合もあり得る。さらに，ふ化時期の異なる镌 数種が混在する場合，期待された防除効果が得られな い可能性もある(瀧田ら,2012)。