イモゾウムシ卵のエタノール浸漬による人工飼料のバクテリア汚染抑制：卵をファーセレラン水溶液とともに飼料に接種した場合

摘要

イモゾウムシ人工飼料のバクテリア汚染防止法としての有効性が最近確かめられた，70％エタノール5分間の卵浸漬処理が，他種ゾウムシの大量増殖に導入された簡易な卵接種法を使用した場合にも効果を示すかを調べた。 この方法では，卵はファーセレラン水溶液という粘度のある液体に混合され，水溶液ごと飼料表面に滴下される。 エタノール処理したイモゾウムシ卵を滅菌済みファーセレラン水溶液と混合して飼料に接種すると，滅菌水ですすいだだけの卵を同水溶液と混合して接種した場合に比べ，飼料のバクテリア発生率およびバクテリア発生までの日数を有意に低下、遅延させることができた。 しかし，卵をエタノール処理した場合でも，バクテリア発生率は71％にのぼり，従来のイモゾウムシ卵の殺菌法（5％ホルマリンに20分浸漬）と比べると，発生率の低下、発生までの日数の遅延の程度は有意に弱かった。 このため，卵の70％エタノール5分処理は，ファーセレラン水溶液を卵接種に使用する場合には，単独では飼料のバクテリア汚染抑制法として不十分であると考えられた。