RT－PCR法を利用した鶏伝染性気管支炎の診断

摘要

鶏伝染性気管支炎（IB）については，中和試験，寒天ゲル内沈降反応，酵素免疫測定法などの抗体検査およびウィルスの分離、同定などさまざまな検査により診断が行われている。 なかでも，ウイルスの分離、同定が最も確実な診断法と考えられるが，IBウイルスの分離には，鶏胚の変化を観察しながら発育鶏卵で2～5代の継代を行う必要があり，ウイルスの同定まで含めるとかなりの時間を要する。 一方，遺伝子工学技術の進歩に伴いウイルスの遺伝子を直接検出する手技が普及し，IBウイルスについてもポリメラーゼ連鎖反応（PCR）法により，検出，同定することがし可能となった。今回，過去の病性鑑定材料を用い，鶏臓器乳剤および発育鶏卵によるウイルス分離で回収した尿腔液にReverse Transcriptase－PCR（RT－PCR）法を行い，実際の野外材料においてどの段階でIBウイルスを確実に検出できるかを検討した。 また，検査の機会を得た3事例について，RT－PCRを利用した診断を実施したのでそれらの概要を報告する。