ネギ圃場の間作ォォムギに発生する力ブリダニ類による ネギのネギアザミゥマに対する密度抑制効果

摘要

近年，ネギ属をはじめ多くの作物においてネギアザミ ゥマThips tabaci Lindemanによる被害が全国的に問題 となっており（武田，2014)，静岡県においても本種は 幾つかの殺虫剤に対して感受性低下が確認され，ネギ等 の重要な害虫となっている（土井ら，2014)。一方で， 静岡県の根深ネギ圃場ではヒメォオメカメムシGeocoris proteus Distantやゥッ'キコモリクモPardosa astrigera L. Kochを主とするコモリグモ類，カブリダ二類等，ネギ ァザミゥマの有力な土着天敵の発生が確認されている (増井ら，2014， 2017)。これまでに，ムギ類間作によるこれら土着天敵を保護，活用したネギアザミゥマを中心 とするネギ害虫に対するIPM体系の開発が取り組まれ ており（土井，2017)，ヒメォオメカメムシゃコモリグ モ類は室内試験で個別に天敵としての評価がなされてい る（土田ら，2014; 土井ら，2017)。また，カブリダ二 類については千葉県のネギ圃場においては，間作ムギの有無に関わらずキイカブリダニ (Gynaeseius liturivorus (Ehara))が10-11月に増加し，ネギアザミゥマの土着 天敵として機能することが明らかとなっている（大井田 ら，2017a, 2017b)o併せて，ムギ類の間作はその枯死 が始まる8月上旬までキイカプリダニの密度維持に有効 で，この期間のネギアザミゥマの密度抑制効果が期待で きることも考察されている（大井田ら，2017b)。本県で もムギ類を間作した秋冬作根深ネギにおいてカブリダニ 類の発生が確認されているがキイカプリダニ以外の種が 主で（增井ら，2014),その数も少なく，キイカブリダ 二を含めたカプリダニ類がネギアザミゥマの抑制に関与 しているかは明らかとなっていない。そこで，本研究で はネギ圃場に間作したォォムギに発生したカブリダニ類 によるネギにおけるネギアザミゥに対する密度抑制効果 を室内試験により確認したので報告する。