遺伝育種が拓く水産の未来－グッピーを用いた高温耐性評価法の開発と遺伝様式の推定一

摘要

魚介類をはじめとする食料資源としての水産生物の生産は自然界からの採集（漁獲）が主となっていたが、近年、養殖による生産の伸びも著しい。 FAO漁獲統計2006年度版（FishStatPlus2006）から世界的な生産量で見た場合の1950年以降の水産物生産量を自然海域からの漁獲（以下漁獲）と養殖による生車（以下養殖）とに分けて比較してみた（図1）。 1950年における漁獲量は約1，900万トンであったのに対し養殖は約64万トンと生産量全体の3．2％に過ぎなかった。 漁獲量は2005年までの55年間で約4．9倍の9，400万トンとなっているが、ここ20年間はほぼ横ばいの状態が続いている。 これに対し養殖は2005年で約6，300万トンと55年間で実に98．6倍になっている。 漁獲量全体に占める養殖の割合も約40％となり、割合でみた場合で1950年の10倍以上になっている。 特に1980年以降に養殖生産量が著しい伸びを示している。 したがって、最近の20年間における水産資源における生産量の伸びは養殖による生産の伸びによっている。 このような伸びは特定の国や魚種によるところが大きい。