乳牛の死亡、廃用率はどこまでさげられるか

摘要

病気を治癒させるには遅延診療よりも早期診療がまさ るといわれる。そこで難症であった牛の診療簿を分析し、 遅延診療がわるい影響をあたえるのは本当といえるのか について検討した。北海道A地区およびB地区の診療所には10数名の獣 医技術者（以後術者と表記）が勤務し、1969-1977年の 期間に診療された2日齢-13歲齢のホルスタイン種の雌 牛で、難症のため死亡か廃用（死廃と略称）になった19 例、および難症であつたが治癒した18例、計27症例の診 療記録を分析した。これら28症例の発病時期を分娩予定 日（乾乳期を含む）、分娩後および不特定時期の3群に 分け発病から初診までの日数の比較をおこなった(表1)。発病時期の区分が分娩予定にあたる死廃群およぴ治癒 群の発病から初診までの日数の間には差がなかつた（P >0.05).一方、発病時斯が分娩後および不特定時期の 死廃群の発病から初診までの日数は治癒群のそれの約2倍および3倍であり、有意の遅延をしめした（P < 0.05)。