完成樹に見る枝表現の個性と枝棚作りのコッ

摘要

盆栽の樹形は、不等辺三角形の輪郭が基本とされます。三角形のラインは樹冠部の先端を頂点として、左右の下枝1一点を結hだもの。幹が直立し重心が中央に位置する直幹樹形ほど正三角形に近いラインとなり、懸崖樹形ゃ吹き流し樹形など樹の流れがはつきりとするものほど、左右の長さの違いが顕著になつて不等辺三角形の輪郭が広がるよ、つになります。正三角形に近い輪郭の樹形は、樹が直立した姿となるので変化が感じられない仕上がりとなることも多いもの。均整が取れてバランスが良すぎるために、かえって人工的に感じることも少なくありませh。直幹樹形でも下枝の長さを変えて変化を持たせるのもこれが理由で、盆栽樹形は左右対称ではなく非対称として変化を持たせることで不自然さの解消を図るようにします。改作などで樹形構想を検討する際に、幹模様が強調できる位置を新正面の候補に挙げることが多いですが、これも幹の形状で樹に流れや変化を付けて自然な風情に仕上げるためで、さらにその幹模様を強調するのが枝の大切な役割となるのです。左右どちらかが長い不等辺三角形の輪郭を意識するのはこのような理由からです。