クリシギゾゥムシに対する臭化メチル代替技術の現状:クリ立木防除技術の効果と問題点

摘要

クリシギゾゥムシ(Curculio sikkimensis)は，幼虫力5クリ果実内部を食害するため，クリ生産や販売において 問題となる重要害虫である。これまで，本種の防除は， 収穫後の臭化メチル剤によるくh蒸処理が行われてき た。し力、し，本剤は，1992年のモントリオール議定書 締結国会合において，オゾン層破壊物質（楣谷，2004) として指定され，2013年を最後に全廃された。その代 替剤であるョゥ化メチルは，原料のヨウ素の供給が東日 本大震災の影響などにより逼迫しており，今後継続して 安定的に利用できる状況ではない。これらの代替技術と して過去に，クリ園での立木防除による被害抑制効果試 験が，中村(1986),藤野(1987),黒木(1989),小林 (1993)らにより実施されてきた。これらの試験の中で， 合成ピレスロイド剤の産卵期前の散布が，非常に効果が あることが明らかになつている。そこでそれらの成果を 参考に，愛媛県のクリ園での本種の発生状況や産卵時期 を調査し，さらに，立木散布での本種および同時に問題 となるモモノゴマダラノ メイガに対する防除効果を検討 した（金崎'井伊，2008)。ここでは，その結果を中心 に報告し，過去の試験事例も踏まえ，クリ立木防除技術 の効果と問題点を考察する。