ADP-グルコーストランスポーター遺伝子の新規ァリルの同定と複数の機能性成分 を高含有するォォムギ品種育成への利用

摘要

ォォムギは穀粒にP-グルカンなどの機能性成分を多く含む特徴をもつが，その含量をさらに高めたォォムギ品種が求められている.本研究ではADP-グルコーストランスポーターをコードするLys5 遺伝子の変異がP-グルカンなど複数の機能性成分の含量を著しく向上させることを報告する.「四国 裸97号」の変異集団から選抜された「谷系QM-1」と，「谷系QM-1」に農研機構中央農業研究セン ター北陸研究拠点で育成された系統を交配して得られた後代系統の一部では，穀粒の粒厚が薄く， 表面にしわがあった.これらのしわ粒系統では総デンプン含量が著しく低下しており，大粒デンプ ンの形態異常が観察された.また，（3-グルカンに加えてァラビノキシラン，フルクタン，レジスタ ントスターチ，y-ァミノ酪酸を著しく多く含hでいた.なd遺伝子の変異ァリルをもち（3-グルカン 含量が高い既存品種「ビューファイバー」においてもこれらの機能性成分含量の増加や，デンプン 粒の形態異常が観察された.そこで「谷系QM-1」とそれを母本とする後代系統について丄"5遺伝 子の塩基配列を解析したところ，しわ粒系統のみに共通する1力所の非同義置換が見出されたこと から，この変異が「谷系QM-1」において複数の機能性成分が増加した原因と考えられた.「谷系 QM-1」の新規/" Jァリルは様々な機能性成分を多く含むォォムギ品種の育成に有用であると考えら れたため，ァリル名をfys5.iとし，遺伝子型判別用のdCAPSマーカーを開発した.