腸内マイクロビオー夕と肝疾患:腸内細菌と'Leaky Gut'による肝臓病のメカニズム

摘要

腸内細菌による肝臓疾患発症のメカニズムにおいて三つの重要なポイント，一つは腸内細菌の質的 量的な異常，二つ目は腸管の壁の異常，三つめは病気を起こす臓器そのものの異常，が考えられて いる。肝臓はグラム陰性桿菌が産生するエンドトキシンにより肝障害を起こすが，このエンドトキ シン産生菌がアルコール性肝障害では腸管壁の壁を通過して肝臓に侵入してくることで病気が起き ることが近年明らかになつてきた，また最近増加している脂肪肝である非アルコール性脂肪肝疾患 ではレブチンというホルモンの作用でエンドトキシンへの反応性が肝臓で高くなり通常では肝臓に 病気を起こさないようなごくごく微量のエンドトキシンで肝炎を起こすことが明らかになった。今 後のこのようなこれまでにないメカニズムに基づいた病気の治療方法の開発が求められる。