安全で簡便に行えるDNAの電気泳動実験

摘要

高等学校の「生物」の授業において，“遺伝”および“遺伝子DNA”の内容は生徒に人気が高い。しかしながら，DNAそのものを扱う実験、観察は少なく，主に魚類の精巣（白子）などを用いた「DNAの抽出」が教科書等に記載されている。そこで，DNA鑑定等で行われる電気泳動を生徒実験として実施できるか否かを検討した。近年，犯罪捜査や食品の品種鑑定，ヒトの遺伝子診断などでDNA鑑定が頻繁に行われている1）。TVや新聞などでもその報道がしばしば行われ，その中でDNAの断片の電気泳動像が出てくることも多い。高校生をはじめ，一般の人がそのような像を正確に理解できるようになることは，生命科学の素養を高めるという意味からも重要なことと考えられる。