好酸性·好熱性古細菌Acidianus Brierleyiによる海底熱水鉱床鉱石のバイオリーチング

摘要

金属資源の海外依存度が高い我が国が，EEZや公海の海底に賦存する海洋鉱物資源を開発し，有価金属の国内自給率を高めることに期待が高まっている。海底熱水鉱床は，海底から噴出する熱水中の金属成分が沈殿·堆積した多金属硫化物鉱床であり，亜鉛，銅，金などの有価金属を含むことが知られている。平成25年7月に公表された「海底熱水鉱床開発計画第1期最終報告書」においては，海底熱水鉱床が複雑な鉱物組成をもつ鉱石であることが確認され，その選鉱·製錬方法として既存の黒鉱処理で使われていた方法が有効であるかどうかはさらに検証が必要であると述べられている。このような研究開発状況であることを踏まえて，製錬技術の一つの選択肢として，低コスト·環境調和型の湿式製錬技術であるバイオリーチングに着目し，このバイオ技術を海底熱水鉱床からの有用金属の浸出·回収に適用することを検討することは意義深いことである。バイオリーチングは，微生物の代謝活性や代謝生産物を利用して，常温·常圧のマイルドな換作条件下で各種鉱物から金属成分を浸出させる湿式製錬技術であり，現在では海外諸国で陸上硫化鉱物からの鍬金の商業生産に実用化されている技術である。