2010年および2012年臨床分離好気性グラム陽性菌および 嫌気性菌の薬剤感受性サーベイランス

摘要

2010年および2012年に全国の17医療施設において種々の臨床材料から分離され た好気性グラム陽性菌31菌属種（2010年；1,020株，2012年；992株）および嫌気性 菌23菌属種（2010年；178株，2012年；211株）について微量液体希釈法又は寒天平 板希釈法で各種抗菌薬に対する感受性を調べた。Staphylococcus aureusのmethicillin 耐性株検出率は，2010年，2012年それぞれ54.2%, 51.4%, Staphylococcus epidermidis においてはそれぞれ82.5%， 84.9%であつた。& mびほ/ぶのmethicillin耐性株検出率に ついては，1992年以降の調査結果と同様であった。これらのmethicillin耐性株に対 し，vancomycin (VCM)のMIC90は2010年，2012年ともに2〃g/mL以下であった。 2012年におtゝては，VCMのMICが4バg/mLを示すVCM中等度耐性株が1株存在した。 また，2010年，2012年にはそれぞれ1株ずつdaptomycin中等度耐性株が,2010年に はlinezolid (LZD)のMICが8jug/mLのLZD耐性株が1株検出された。Streptococcus ；?wewwo"おeにおいては，2002年以降減少傾向にあったpenicillin感性株（genotype)の 割合が，2012年に20.4%へと増加に転じていた。Enterococcm faecalisとEnterococcm /oecz'wwに対するVCMとteicoplaninのMIC90はいずれも2/ほ/ま以下であり，VCM 耐性株は認められなかった。一方，LZDのMIC90は，2010年は2〃g/mLであったが, 2012年はいずれの菌種に対しても4バg/mLと高くなり，非感性株の割合が10%以上 に上昇した。嫌気性菌のClostridium difficileに対するVCMのMIC9。は2010年，2012 年ともにlmug/mLであったが，2012年にはVCMのMICが4〃g/mLの株が確認され た。Bactetvkks属ゃPrevotelh属に対しては,力ルバぺネム系抗菌薬のMIC9Qは2010 年，2012年ともに2バg/mL以下であった。1992年以降，隔年で感受性サーベイランス試験を実施しているが，今回の調査で も感受性動向に際立った大きな変化は見られなかった。