虚血性心疾患患者における ACE阻害薬/ARBの使い方

摘要

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 renin-angiotensin-aldosterone system ： RAAS) は.血圧や体液量，電解質の調節に重要な役割を 担っている.主に肝臓や脂肪細胞から産生される アンジオテンシノーゲンは，腎臓の傍糸球体細胞か ら分泌されるレニンによってアンジオテンシンIに変 換され，アンジオテンシン変換酵素（angiotensin converting enzyme ： ACE)によってアンン才テン シンnに変}免される.アンジオテンシンnは，ATI 受容体を介して血管収縮やアルドステロンの分泌 を促進し血圧の上昇や体液貯留を引き起こす.ま た，ACEは血管拡張作用をもっブラジキニンを不 活化することで，昇圧作用をもたらすことも知られ ている(図1).現在，RAAS系に直接作用する薬剤としては，直接的レニン阻害薬，アンジオテンシン 変換酵素阻害薬(ACE inhibitor ： ACE阻害薬)， アンジオテンシン受容体拮抗薬（angiotensin n receptor blocker ： ARB),アルドステロン拮抗薬が あり，それぞれの作用機序は図1に示す通りである.