心腎連関の分子機序

摘要

蛋白尿が独立した心血管イベントの危険因子であることが明らかになり，慢性腎臓病（CKD）と循環器疾患との関連が注目されている。また，CKDと慢性心不全は同一症例に同時に合併する頻度が多く，これらが互いに増悪因子として悪循環を形成していることも再認識され，いわゆる心腎連関としてその病態が注目されている。我々のccuに入院した重症心疾患患者を対象とした検討においても，その生命予後は入院時の腎機能によって驚くほど明確に層別化されており（図＝a），腎機能と心疾患との関係の重要性が確認された。このように心腎連関は臨床的に重要な現象であり，その基礎に存在する分子磯序の解明は治療の上からも非常に重要である。