(PS173r)強圧延によりヘテロナノ組織を付与した二相ステンレス鋼の疲労特性

摘要

近年，強ひずみ加工による結晶粒微細化強化の研究が進められており，その手法の一つとして単純強圧延による結晶粒微細化がある．低積層欠陥エネルギーを有する FCC 金属に強圧延加工を施すことで，ラメラ状組織とせh断帯，変形双晶から成るヘテロナノ組織が形成され，超微細な結晶粒組織が得られる1) ．SUS316LN ステンレス鋼に冷間強圧延（92%）および時効処理を施した材料の圧延ロール平行方向（T.D.）からの引張試験で，最高 2.7GPa の引張強度が得られており，複相構造の二相ステンレス鋼においても強圧延により，オーステナイト(??相にヘテロナノ組織が付与され，力学特性の向上が期待できる．本研究では 90%冷間強圧延で?相にヘテロナノ組織を付与した高強度二相ステンレス鋼の疲労特性を明らかにするとともに，α/γ 体積比が疲労挙動に及ぼす影響の有無を考察した．