金属粉末を出発材とする調和組織材料の開発と諸特性

摘要

材料の特性改善のためには結晶粒微細化が極めて有効であることから、これまでの多くの研究では均一かつ超 微細結晶粒に組織制御することが注目されてきた。その成果として、溶製材の超強加工と熱処理によりナノ寸法か らの均一微細結晶粒材料が得られ、顕著な高強度化が達成できた。しかしながら、その一方で、延性の低下が避け られないことも明らかとなった。これに対し、強ひずみ付加粉末冶金法(Severe Plastic Deformation-Powder Metallurgy :SPD-PM)の一つであるメカニカルミリング法(Mechanical Milling: MM)により強ひずみ加工された金属粉 末では、結晶粒が微細化しナノ結晶粒組織が容易に得られ、MM と焼結プロセスを組み合わせて得られるナノ結晶 粒組織とメゾ結晶粒組織の両方を併せ持つバイモーダル調和組織材料は、高強度と高延性を両立可能であること が明らかとなった。バイモーダル調和組織とは、粉末表面近傍の超微細結晶粒ネットワーク組織と粉末内部のメゾ 結晶粒組織とが複合した組織である。本報告では、種々の金属粉末を出発材とするナノ?メゾ調和組織材料とそれら の機械的性質との関連性について検討を行った結果を詳述する。