連続鋳造用モールドパウダーの結晶化に及ぼすCaF_2の役割

摘要

連続鋳造工程において鋳片と鋳型の潤滑剤としてモールドパウダーというフラックスが用いられている。 パウダーの一成分であるCaF_2は，融点·粘性を下げることにより潤滑性を確保するほか，Cuspidine（3CaO·2SiO_2·CaF_2）という結晶化の容易な化合物を生成する。 メニスカス近傍のスラグフイルムにおけるcuspidimeの結晶化は鋳片の緩冷却を促進するため,鋳片の縦割れを抑制する効果がある。cuspidineの結晶化の制御にはcuspidineの安定領域や結晶化機構を明らかにする必要がある。 著者らはCaO－SiO_2-CaF_2系状態図を作成し，cuspidineの安定領域を示した。 一方，cuspidineの結晶化速度には粘度や拡散係数などの物性が関係しており，融体中のF周辺の局所構造がこれらの物性に大きな影響を及ぼしていると考えられる。 本研究ではCaO－SiO_2－CaF_2系スラグ構造におけるぎの存在形態を~（19）FNMRを用いて明らかにし，これがcuspidineの結晶化に及ぼす影響について考察した。