新創業融資制度、etc－積層金型を開発する

摘要

積層金型とは、加工した板材を積み重ねることで作製する金型であり、従来の金属ブロックを切削する方法とはまったく異なる製法の金型である。 この積層金型は、1980年代に当時の東京大学生産技術研究所教授·中川威雄氏、大学院生の国枝正典氏（現·東京農工大学教授）により提唱された。 ただし、当時はCADデータからスライスデータを作成できるソフトウェアが十分でなかったために実用化には至らなかった。 その積層金型づくりを事業として立ち上げた企業が広島県呉市にある積層金型である。同社の山崎久男代表取締役は、マツダで自動車部品用金型、プレス成形に30年以上にわたり携わった金型のエキスパートだ。 山崎氏は、マツダで生産技術本部の副本部長の要職を経て系列会社のマツダスチールの社長に就任した当時、知人であった中川氏の「積層金型」の実用化に着目した。 しかし、同社では事業化には至らなかったため、2001年4月に中川氏と共同出資で積層金型を開発する会社（当時の社名は「積層金型研究所」、07年5月に現社名に変更）を起業したのである。