次世代産業のための機能性樹脂の発展の現状－サーマルマネジメント材料を中心に

摘要

機能性高分子は、1970年代に大阪大学の竹本喜一先生が提唱された歴史の古いテーマだが、新しい高分子を開発し、その性質から応用を考えるのではなく、応用のニーズ（機能）をもつ高分子を開発するという、今では常識的だが、当時は非常に画期的な考え方だった。そのニーズは、生体系高分子を意識したものだったが、次第に応用分野が光や電気などに広がり、高分子自体だけでなく、複合高分子材料まで活用して機能性樹脂が開発されるようになった。そして最近では、次世代自動車や3Dプリンタ、5G通信、IoT技術、AI技術などの次世代産業の大きな進歩を支えるため、種々の高機能樹脂の開発が進hでいる。ここでは、3Dプリンタ用樹脂、5GやIoT を支える、低誘電樹脂や電磁波シールド材などについて概説した後、当研究室で開発に取り組hでいるサーマルマネジメント材料について説明する。