高強度鋼冷間圧延における圧延スリップのシミュレーションと圧延油条件

摘要

自動車の軽量化には現状では高強度鋼の適用が不可欠である．ここでは高強度鋼の一種である高張力鋼の冷間圧延時のスリップ挙動について考察し．圧延スリップ発生のシミュレーションと冷間圧延油条件変更時のスリップ発生状況，およびそれらの知見を応用した耐スリップ性に優れた高張力鋼用冷間圧延油の開発について述べる，通常冷間圧延で製造されているのは980 MPa以下のものが多い．高張力鋼の冷間圧延における生産性の弊害となる圧延スリップについて言及している文献は少ないが，連動して発生する冷間圧延でのチャタリングの挙動についてはさまざまな文献が出されている．例えば古川らはDCRで発生した極薄材圧延時のチャタリングを詳細に調査し．潤滑不足が原因であることを明らかにするとともに新規極圧添加剤の適用で解決している．一方浅村らはブリキ原板の高圧下圧延時の加減速時に生するチャタリングを潤滑過多によるものと断定し，クーラント量を制御して解決している．また白石はラボの4段圧延機の後方張力を増加させて先進率と摩擦係数の変化を調査している．