資源の救世主オイルサンドカナダの石油埋蔵量は世界第2位に

摘要

原油価格は2004年を通じて歴史的な高値で推移した。 2005年に入っても、原油価格が大きく下落することはないだろう。スーパーメジャーを初め大手石油企業や産油国の国有石油会社は、これまで数多くの原油価格の乱高下を経験し、将来の原油価格下落をおそれて、新規の原油生産能力増強投資に慎重だからである。 しかも、21世紀に巨大な石油埋蔵量が期待されているサウジアラビア、イラクなどはテロの発生や政治的な不安定性もあり、地政学的リスクを抱えている。 さらに2004年には一時的に世界最大の産油国に復活したロシアも、2004年末には大手石油会社ユーコスが事実上解体され、100万b/dにも達する主要な原油生産子会社ユガンスクネフテガスはダミー会社であるバイカル·ファイナンスを通じて実質的に国有化され、欧米メジャーのロシアに対する姿勢も消極的にならざるを得ない。 こうした石油開発面の新たな投資先の手詰まり感の中で、すでに身近に存在する巨大な石油資源がカナダのオイルサンドである。 とくに、2003年初めにOGJ誌がカナダのオイルサンドを石油埋蔵量に公式に組み入れてからは、イラク戦争を通じた原油価格の上昇と中国を中心とした石油消費の急増に直面した状況下で、21世紀の石油需給バランスを安定化させる救世主としてカナダのオイルサンドが非在来型石油資源として俄然注目され始めている。 今後のカナダ·オイルサンドの生産増は、世界の石油需給のバランスに寄与するのみならず、太平洋岸に面したバンクーバー港を通じた輸出によって、日本の原油輸入の脱中東依存にも大きく貢献するものと考えられる。 カナダのオイルサンドの現状と今後の日本への影響について分析した。