現場に「両立の仕組み」を作り、指標を追え

摘要

サービス品質を上げれば効率が下がり、効率を上げればサービス品質が落ちる----。これまでサービスを論じる時、必ずといっていいほどサービス品質と効率のトレドオフが同時に語られてきた。特に効率を追求し過ぎると人手が不足して顧客に迷惑をかけ、付加価値の高いサービスを提供できないのではないかという認識があった。しかし、それは誤解である。これから取り上げる6社のサービスイノベーション企業では、サービス品質と効率が共存している。むしろ積極的に両立の仕組みを構築してきたことで、他社の追随を許さない特異なビジネスモデルを確立し、顧客の支持を集めてきた。その証拠に、6社ともここ数年は右肩上がりの成長を続軌この不景気でも3社は今期も増収増益が確実だ。残りの3社も着実に経常黒字を確曝している。サービスイノベーションに詳しい産業技術総合研究所サービス工学研究センターの内藤耕·次長も「サービスの二律背反性が存在しないことが、サービスイノベーション企業に共通する強さの秘密だ」と指摘する。