個別部品で組み立てて動作原理から設計法までを理解する－PLL周波数シンセサイサの設計法徹底解説：第20回 過渡応答の性能を表す二つの指標－周波数の切り替え時に何が起こるか

摘要

今回は，PLL周波数シンセサイザの時間軸での応答特性がなぜ問題になるのかを解説し，時間軸の応答特性を表現するために必要な値，整定時間T{sub}s，減衰係数ζ，固有周波数ω{sub}Dなどの意味を解説します．PLL周波数シンセサイザは，システムで必要とするさまざまな周波数を正確に得るために使われます．マイコンのクロックのように一定の周波数を出し続ける用途もあれば，無線LANのように頻繁に周波数を切り替える用途もあります．無線LAN，第三世代携帯電話，デジタル放送など，ここ10年ほどの間に出てきているディジタル化された通信／放送では，周波数を高速に切り替えるPLL周波数シンセサイザの技術が必須になっています．周波数を頻繁に切り替える用途では，周波数特性では把握しにくい時間軸での応答特性が問題になってきます．