EBウイルスによる胃癌発生のメカニズム

摘要

EBウイルス(Epstein－Barr virus：EBV)は健常人に普遍的に感染している．しかし．ヒトの悪性腫瘍と深くかかわっているウイルスである．胃癌は日本人にもっとも高頻度にみられる悪性腫瘍である．1990年にEBV遺伝子が胃癌に検出され，わが国の胃癌患者のほぼ10％にEBVが感染の実態が明らかにされた．EBV感染上皮細胞腫瘍である上咽頭癌nasopharyngeal carcinoma：NPCのみならず胃癌にもEBVがかかわっていたのである．EBVが胃癌発生にどのように関連しているのか．その研究の背景，胃癌におけるEBV感染の実体，特徴，上皮細胞への感染の機構および発癌へ向けての研究を紹介する．