内向き整流性K~+チャネルの整流性を決定するあらたな構造基盤

摘要

内向き整流性K~+チャネルは膜電位依存性K~+チャネルと対照的に,K~+の平衡電位以下で,内向き電流を通すユニークなチャネルである.その内向き整流性は,このチャネルが細胞内のMg~(2+)やスペルミンによるブロックに対し高い感受性をもつため,外向き電流が抑制されることによる.このきわだった性質を決定する一次構造上の構造基盤が近年探索され,これまでに2カ所が同定されたが.すべてを説明することはできなかった.本稿で紹介する研究において,著者らは内向き整流牲K~+チャネルIRK1のcDNAクローンを用い,種々の点変異体の機能解析を行うことにより第3の個所を新規に同定した.驚いたことに,そのアミノ酸残基E299は,チャネルポア(穴)から遠く離れた細胞内の長いチェーンの中ほどであるとこれまで認識されてきた場所に位置していた.このことから,内向き整流性K~+チャネルのポア内側部は細胞内チェーンを含む大きな漏斗状の構造をしていることが示唆された.