プロバイオテイクスによる粘膜免疫制御－アレルギー性疾患予防の可能性－

摘要

プロバイオテイクスとは，簡単にいうと"生体に有益な生菌"のことである．われわれの消化管，とくに腸には500種,10~(14)個にも及ぶ常在細菌が定住してひとつの生態系をつくっており，消化管フローラとよばれる．このフローラの細菌総数はヒトの細胞総敦の10倍以上もあり，消化管フローラはひとつの臓器ともみなされる．消化管フローラの生体における役割として，消化管における感染防御,免疫機能の賦活,消化管生理機能の維持,腸粘膜上皮に必要な栄養素の供給などがある．プロパイオテイクスとして用いられるラクトバシルス乳酸菌,ビフィズス菌などはこのフローラの役割を代替あるいは補完することを期待されている．本稿では粘膜免疫制御,そのなかでもとくにアレルギー発症における消化管フローラの役乱そしてプロパイオテイクス応用の可能性について述べる．