骨粗鬆症診療における骨代謝マ-力-の利用－診断，病態解析，治療モニター手段としての骨代謝マーカー-

摘要

骨代謝マーカーは，現在の骨代謝の状況をリアルタイムで検討しうる点で優れた臨床マーカーであると考えられている．現在，骨芽細胞由来の特異蛋白である骨由来アルかノホスファターゼ（BAP）やコラーゲンの架橋成分であるデオキシビリジノリン（DPD），または架橋を構成するN－telopeptide部分を測定する測定系（NTx）などが医療保険給付対象となっている．これらマーカーの臨床的意義は，現在明らかになっていることに限定すると，骨粗鬆症の骨折危険予測と骨吸収抑制剤の効果モニタの2点である．骨粗鬆症診断や骨密度減少速度予測因子としての意義はないことはないが，個々の例で判断するにはオーバーラップが大きすぎるとされている．しかし，骨粗鬆症診療のなかに混入してくる癌の骨転移や他の代謝性骨疾患の鑑別には有効である．