患者は90歳,女性.20年前に左上腕骨骨折でプレート固定の既往があった.3か月前に左肩の痛みが出現し,他院の精査でプレー卜破損と腋窩動脈の仮性動脈瘤を指摘された.腕神経叢麻痺で運動障害があった.同院でステン卜留置が施行されたが瘤は治癒しなかった.腫脹と疼痛の増強があって当科を紹介された.CTで腋窩動脈周囲に14 X 10cmの仮性動脈瘤を認めた.これに対してステン卜中枢の健常腋窩動脈と末梢の上腕動脈を自家静脈でバィパスし,中間部位の動脈の結紮を行った.上肢の麻痺は残存した.血管内治療で効果が得られない末梢仮性動脈瘤については高齢者であっても通常の手術を検討すべきである.
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