鼠径ヘル二ァに対するアプローチ「鼠径法」の立場から

摘要

鼠径法は，外科手術の歴史のなかで培われてきた基 本的なアプローチの術式であり，かつ現在においても, すべての鼠径部ヘルニア患者，その病態，その状況に おいて応用可能な最終解決法としての術式である.現 在でも，一般的に行われている術式は鼠径法が大多数 であること，その点を確認しておきたい.鼠径法といったとき，それはアプローチの方法につ いての言い方である.そこに膨隆したものがあるから， そこにアプローチしたのが歴史的外科手術の始まりで あろう.次いで，鼠径部の解剖が理解されでくること から，鼠径部ヘルニアに対しての術式が考え出されてきたのである.原理的な事柄は，すでに19世紀から 20世紀の外科学のなかで確認されてきた.ヘルニア の同定，内容の還納，ヘルニア門の確認，ヘルニア門 の閉鎖と鼠径管後壁の補強の原則である（図1).