経十二指腸的乳頭部切除の適応と限界

摘要

十二指腸乳頭部腫瘍に対する局所切除としての経十二指腸乳頭部切除は，1899年にHalstedにより報告された.以来，多くの施設で試みられ，決して新しい手術手技ではないが,その術式に関しては適応が明確でないためいまだ議論が多い.局所切除後の再発率は0?80%と様々であり，必ずしも乳頭部腫瘍に対する根治切除を目指した術式とは考えられていない.一方，膝頭十二指腸切除は十二指腸乳頭部腫瘍に対する根治術式として確立されているが，その手術手技や周術期管理が向上した現在でも手術侵襲は大きく，術後発生しうる合併症も看過することはできない. 近年，内視鏡的診断および治療の技術が進歩し，十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除が試みられるようになり，その中間に位置する経十二指腸乳頭部切除の役割を再検討する時期にきていると思われる.