肝?胆?膵癌肝癌分子標的治療の基礎と臨床

摘要

がhに対する新たな治療として分子標的薬が登場した。これはがh研究，特に分子生物学的アプローチによるが hの増殖，転移機構の解明がもたらした成果である。肝癌に対してもマルチキナーゼ阻害剤であるソラフユニブが 開発され，わが国でも保険収載されたことは記憶に新しい。これを機会に肝癌に対する分子標的治療についての特集を企画し，3人の先生に執筆していただくことができた。以下に簡単に紹介する。田中真二先生はトランスレーショナル?リサーチと題して分子標的の論理的根拠，抗血管新生治療の意義とその 問題点，分子標的治療の新しい考えについて概説した。特に，現在の分子標的薬は血管新生因子をターゲットにし た薬剤が主流であるが，最近，その問題と限界を指摘する論文が基礎，臨床両面から相次いで発表された。がhの 増殖には腫瘍血管による酸素，増殖因子の供給が必須の要件であるというのがセントラルドグマのように語られが ちであり，実際，がhの生存に重要であることはおおむね正しいと思われる。しかし，がh細胞は低酸素状態にお