(S322)溶融ビード法を用いた高速度鋼の蛍光X 線定量におけるビード試料の経時変化とその再調製

摘要

タングステンを高濃度(～19 mass%)に含有する高速度鋼のような鉄鋼材料を誘導結合プラズマ発光分光法で分析する場合、溶液調製後にタングステンの沈殿が生じるおそれがあり、またその溶液調製も煩雑で比較的長時間を要する。そこで高速度鋼の試料調製に溶融ビード法を用い、迅速に蛍光X 線法でタングステンを定量する方法1)を開発した。このとき、金属標準溶液を用いてビード標準試料を作製し、これを蛍光X 線測定して検量線を作成した。このビード標準試料は、一度作製すれば何度も繰り返し用いることができる。ただし、長期に保存した場合、あるいは多湿の環境に長く置いた場合、吸湿などで次第に表面の透明性が失われてしまう。そこで、この影響を検討するため、失透したビード試料を用いた蛍光X 線定量、さらには再溶融を行なっても分析が可能か否か検討した。