高齢者の終末期医療一重度要介護高齢者の心肺停止への対応を考える一

摘要

日本の救急医療分野において，近年，終末期医療は主要課題の一つとなっている.2012年 度の日本救急医学会学術集会では，終末期医療 シンポジウムの公募演題は50を数え，演題採 択の競争率は同学術集会の中で最高となり，シ ンポジゥム関連セッシヨンが5つも編成された. これらの演題をみると，救急医療における終末 期医療問題の中心にあるのは高齢者に関する諸問題であることがわかる.日本は世界屈指の長命国であり，高齢化率が 世界一であることは広く知られている.内閣府の最新の統計によると，2011年10月時点で65 歳以上の高齢者人口は過去最高の2,975万人 (前年2,925万人）になり,1億2，780万人の総人 口に占める割合（高齢化率）は23.3 %となつた". また，高齢者人口のうち，75歳以上人口は 1,471万人で，総人口に占める割合は11.5%と なった.