サービス付き高齢者向け住宅の計画手法に関する研究: その1 要介護度・医療依存度の変化への対応性からみたサービス付き高専賃の建築形態の実態と課題

摘要

本格的な超高齢社会を迎え、高齢者の安心居住を支える住まいの整備が社会的課題となっており、平成23 年10月20 日にサービス付き高齢者向け住宅（以下、高齢者向け住宅という。）の登録制度が開始された。本研究は、従来のサービス付き高齢者専用賃貸住宅の調査を通じて、安心して住み続けられる高齢者向け住宅の普及に向けたハード・ソフト両面の計画手法に関する知見を得ることを目的とする。高齢者向け住宅は、①住宅サービスに生活支援サービスが複合している、②入居者の多様な心身状態と時間的変化を前提としている、③居住の安心が特に強く求められる、④居住の権利が強く保護された賃貸借契約を基本とする、等の特徴を有する。このため、本研究では、入居者の身体状態の変化に対して居住の安心や継続性を確保できるためのハード・ソフト両面における「対応性」に着目する。その１はハード面に着目し、建築形態からみた対応性の実態を明らかにする。その２ではソフト面に着目し、医療・介護との連携等からみた対応性を扱う。その３では、具体事例における対応性の実態を分析し、要介護度や医療依存度の変化に対応できる高齢者向け住宅の計画手法のあり方について考察する。