溶存酸素計を用いた迅速，簡便な抗癌剤感受性試験法の検討

摘要

胃癌に対する抗癌剤治療は，S－1の登場により，最近我が国から有望な臨床試験の結果報告がなされ，進行再発および術後補助化学療法の治療戦略が確立されつつある．しかしながら，より高い奏効性とより長い生存期間を得るためには，新薬や新たな併用療法の開発が必要である．また腫瘍側の感受性を正確に評価あるいは予測した，個別化化学療法の確立も重要である． 腫瘍の感受性予測，または副作用の少ない薬剤を選択するアプローチ法の一つとして抗癌剤感受性試験がある．手術などで採取した腫瘍片を用いたin vitro系抗癌剤感受性試験にはsuccinic dehydrogenase inhibition assay（SDI）法，histoculture drug responseassay（HDRA），collagen droplet－drug sensitibity test（CD－DST）などがある．著者らは，多チャネル溶存酸素測定装置を用いて抗癌剤感受性試験システムを開発し，本法が従来法に比べて迅速（観察時間16時間）かつ簡便に抗癌剤感受性試験が可能であることを報告してきた．今回，溶存酸素濃度を指標とした抗癌剤感受性試験法についてその概要を述べる．