最新の膀胱癌初期治療-病理の視点から

摘要

膀胱癌は初期症状が乏しく，進 行癌で発見されることもまれではない加えて，前立腺癌のPSA (prostatic specific antigen)に相当 するような有用なスクリーニング のマーカ一がなく，尿細胞診が もっとも有効?簡便で安価な検出 法として定着している.欧米では 尿検体を用いたFISH (fluorescence in situ hybnaization)法(UroVysion, Abbott)が尿細胞診よりも精度がよ い(高感度）との報告から実用化さ れているが，コストの問題などか らわが国での導入は研究レベルの 段階である.一方，膀胱癌の病理 組織学的診断および治療の目的で 行われるTUR(transurethral resection) に関しては， 1990年代からT1 high grade腫瘍(粘膜固有層浸潤が あるが，筋層浸潤のない high grade の膀胱癌）に対するsecond TUR の重要性が提唱されている.ここ では膀胱癌の初期治療の際に，尿 細胞診と病理の情報をいかに有効 に活用するかについて解説する.