地球シミュレータによる濃度安定化効果の予測

摘要

京都議定書が2005年2月に発効したが，その削減では大気中のCO{sub}2濃度の増加を約10年程度先送りする効果しか期待できない．さて，そもそも温暖化の防止は可能なのであろうか．国連の気候変動防止枠組条約(UNFCCC)の究極の目標は，第2条によると，「気候システムに対して危険な人為的干渉を及ぼさないよう，大気中の温室効果ガスの濃度を安定化（一定）すること」である．そのためには，「大気中の温室効果ガスをどの程度の濃度レベルで，またいつごろ安定化するべきか？」といった点についての科学的知見が不可欠である．気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は，2001年に発表した第3次評価書TARに続き，2007年には第4次評価書AR4の発表を予定している．AR4 (2007)では，温暖化防止に役立つ科学情報として，濃度安定化の効果予測が盛り込まれる予定である．