抽象絵画における鑑賞者の視線行動を利用した音楽生成システムの予備的検討－提案システムが抽象絵画鑑賞者の発想の多寡に与える影響

摘要

近年、コンピュータのデジタル技術を表現の手段として利用することで、視覚と聴覚を有機的に融合させた表現が可能となっている。筆者らは既に「絵画と音楽の融合」をテーマに、抽象絵画における視線行動を利用した音楽の自動作曲方法に関するシステムを検討している。また、抽象絵画は対象が抽象的なゆえに鑑賞者の主観で発想を膨らませられることが鑑賞の楽しみ方のひとつと考えられる。そこで、筆者らの提案システムが実現した場合、一般的には解釈の難しい抽象絵画が音によって拡張されることで、より鑑賞者の発想が膨らみ、楽しませることができると考えられる。本稿では提案システムによって実際に鑑賞者の発想内容を計測した予備実験の結果について報告する。