幼児早期出現語の理解－発話指標による幼児語彙学習特徴の検証

摘要

幼児早期出現語に関して，Gentnerらにより名詞学習の優位性が主張されてきた．これまで，早期出現語のある時点での品詞分布における名詞頻度の優位性を根拠にこの仮定を支持する結果が多数報告されている．Gentnerらや，Maguireらは，ある語の学習における優位性を説明するために，語を抽象表現空間上の連続体と仮定し，その空間が語の難易に関与しているという仮説を提案している．しかしながら，これまで，語彙学習の難易とこの抽象表現空間とのつながりを明確に示した研究はなかった．本報告では，横断的な語彙チェックリストの結果から語彙学習の難易と抽象表現空間を結びつける直接的な指標を提案する．さらに，この指標上に，幼児早期出現語彙のカテゴリがどのように分布するかを報告する．