バイオマスと可視光を利用した水素製造＜光エネルギーを駆動力としたバイオマス－水素変換システム＞

摘要

一方、次世代エネルギーとして候補にある風力·水力以外の自然エネルギーに着目すると、長年クリーンエネルギーの代表として注目されているのが、太陽エネルギー及び水素エネルギーである。特に太陽光の分布強度の大きな可視光領域の光エネルギーを利用して、水を分解して水素を獲得できれば、革新的なエネルギー生産技術につながるものと期待できる。しかしながら可視光エネルギーを利用して水を直接水素と酸素に分解する試みは、長年研究されているが、効率の高いシステムはいまだ達成できていないのが現状である。そこで、原料としてバイオマスを、可視光エネルギーを利用して水素を獲得できれば、太陽光エネルギー、バイオマス及び水素エネルギーと再生可能かつクリーンエネルギー創製技術の革新的な発展につながる。そこで本稿では、バイオマスの中でセルロースやデンプンに代表される多糖類を原料、多糖類を加水分解する酵素、可視光エネルギーを効率よく吸収する光合成色素クロロフィル及び水素発生用触媒である白金微粒子で構成される可視光で駆動するバイオ水素生産システムについて紹介する。