野生生物の輸入の現状と水際対策の課題

摘要

私たちは，医薬品，食料，装飾品などさまざまな形で野生の動植物を利用している。また野生の動植物は発展途上国の人々にとっては生活を支える重要な資源である。 世界の野生生物の取引市場は大きく，年間の取引額が数十億ドルにのぼるとみられる。 1990年代初め，世界における野生生物の国際取引の年間輸出額は，木材が65％，魚介類が25％，木材以外の森林製品が7％であった。 さらに，生きた動物，装飾品，医薬品，食肉，観賞植物など，その他が3％であった（Zain，2001）。 このように人間は野生生物を利用し，その恩恵を受けながら生活している。 この状態を続けるためには生態系の保全，生物の多様性の維持が欠かせない。