科学の方法といわれるものにもっと踏みこんだ本を読んだ.『擬似科学と科学の哲学:Philosophy of Science and Pseudo Science』(伊勢田哲治著,名古屋大学出版会,2003,1,10)である.この本は著者が名古屋大学で1,2年生むけにおこなった授業がもとになっている.「揮似科学」と言われる,創造科学,占星術,超心理学,東洋医学をとりあげながら「科学とはなにか」を考えてゆくというユニークな本である.結論のようなものでは,「科学」と「擬似科学」の分かれ目の線を引くことができるようにはとても見えない,とある.科学であることの必要十分条件を与えるのは無理そうだ,と言う.線は引けないが,区別はできる.確率論的な「程度」思考が重要で,ベイズ主義が役に立つのではないか,と伊勢田さんは考えるのである.ここまでで意味のわからない用語がいろいろ出てきているが,それについてはあとで必要に応じて月虫れるが,ここではベイズ主義というものについて触れておこう.ベイズの定理というものが理化学辞典にも世界百科事典にも出ているが,読んでも数学に強い人を除いて,たいていの方にわからないだろう.17世紀の坊さんの名にもとづくものであるが,数理統計学で用いられる.それがこの本ではじつにわかりやすく書いてある.ただし,厳密かどうかはわからないが.「擬似科学」については本書の各章を読んでもらうことにして,科学的方法論の初歩のところを読んでみよう.
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