原油急落続き逆オイルショックも近いぞ！

摘要

10月13日のNYMEXのWTI（期近先物）は85．74ドル／バーレルで引けた。同日のICEの北海ブレント（同）は88.89ドルで引けた。WTIは終値としては2012年12月10日以来の安値，ブレントはこれも2010年12月1日以来の安値となった。今年の最高値はWTIが6月20日の107.26ドル，ブレントが6月19日の115。06ドルだったから，わずか4カ月の間に21.52ドル（20.1％），26.17ドル（22.7％）もの急落となった。なぜこれほどの急落となっているのか？何よりもその要因としてあげなければならないのは，この4カ月の間に原油及び石油の需給ファンダメンタルズが全く様変わりしてしまったことだ。米国の異常なほどの原油の大増産が続いている。米国の原油生産量は今や880万バーレル／日にもなっている。供給面ではもう1つ。リビアの原油生産量が7月の23万バーレル／日から9月には80～90万バーレル／日に回復したことだ。地政学的リスクが実際に原油供給量を大きく低下させ，しかも心理的にも先高観·供給不安を煽っていたことが原油を需給実態とは別に高値に留め置いてきた。一方，需要面では中国·EU·日本などの経済の陰りが主要な国際経済機関によって明らかに一され，石油需要の低迷が赤裸々に暴き出された。供給は急増しているが，これに対して需要は低迷する。先高観が支配していた石油市場があっという間に先安観支配の市場に激変した。石油市場に投資されていたマネーは一斉に株式市場へと流れ，同時にドル高が進行した。原油安に輪をかけたのだ。ここではその需給要因を追ってみる。最初は米国原油の大増産からだ。