好調だった平成15年の都市ガス販売競争激化のなかで近年最高の伸び

摘要

平成15年暦年（1～12月）の都市ガス販売実績がまとまったが，全国ベースで前年比7.2％増と過去10年間で最も高い伸びとなった。 　 都市ガス販売実績は現在，日本ガス協会が毎月発表している速報値とエネ庁の都市ガス需給実績が目安となっているが，昨年の都市ガス販売実績がこの10年間で最も高い伸びとなったのは，家庭用等気温に影響を受ける3用途が堅調に伸びた一方，工業用が2年連続で二桁の伸びを記録したことが大きい。 　 この工業用の2年連続二桁増という大幅な伸びは，大口供給制度による自由化の影響が大きく寄与しているのは当然だが，また，平成13年7月からの東京ガスによる東電品川火力への天然ガス供給が大きな原動力となっている。東電への供給量は昨年8月に第1系列3軸への供給も開始されて年平均16～18億m~3（1万1千kcal）前後と推定されることから，同社工業用ガス販売量の約3分の1を占めるに至っているのだ。 　 この特需ともいうべき東電品川火力への天然ガス供給は今年夏に増加の上乗せが終わるため，平成16年の都市ガス販売は昨年のようには伸びないと思われるが，それにしても東京ガスはもちろん最近の全国の都市ガス工業用の伸びはすさまじいのひと言。 10年前の平成5年の工業用ガス販売量がガス協会億で57億5,507万m~3（1万kcal）だったから，昨年の117億7,755万m~3はおよそ2倍の伸びということになる。 更に今年は4月から大口供給の適用範囲が50万m~3基準（1万1千kcal）まで拡大されることから，これにより全体で東京ガスの東電供給の伸びのストップ分をどれだけ食い止められるかが今年の焦点のひとつとなろう。