第5次都市ガス改革がスタートまずこれまでの成果を評価·検証へ

摘要

総合資源エネルギー調査会都市熱エネルギー部会（部会長＝植草益東京大学名誉教授）は今月3日に第7回会合を開き，家庭用を含めた都市ガス全面自由化へ向けた検討を開始することを決めた。 都市ガスの規制緩和，自由化は平成7年に年間契約数量200万m2（1万1千kcal）以上の需要家を大口供給の対象とすることから開始され，以来これまで4次にわたる改革を断行。 今年4月1日からは10万m2基準まで自由化の対象が拡大されている。 今後は家庭用までの自由化及びアンバンドリング（垂直分割）の問題が残されているが，今回の都市熱部会開催はこれらの問題を検討するため開催されたもので，昨年5月以来約1年半ぶりとなる。 結局，部会の下に新たに学識経験者による「制度改革評価小委員会」を設置し，これまでの都市ガス改革の評価·検証を行うことになったが，電力と違ってこれまでの都市ガス改革の成果は極めて顕著。 電力の新規参入がP PSのシェアなど自由化分野の中で2％台でしかないのに対して，都市ガスは今年3月末で新規参入が28社，大口獲得件数が162件と全大口供給に占めるガス販売量シェアは11.7％に達している。 平成18年度の全都市ガス販売量の6.7％で，表①，②，③にも示したように，この10有余年で完全に都市ガス事業の一部になっている。 また，新規参入が進むのと並行して，既存都市ガスでは原料LNGの高騰にもかかわらず4大手都市ガスを中心にガス料金の低減，維持を図ってきている。本誌は，保安の確保に万全を期せば都市ガス家庭用自由化は全く問題はないし，メリットの方が断然多いと考えるが，今後電力の自由化に道を開くためにも電力とのこれまでの横並びを脱し，前向きに家庭用自由化に取り組んでもらいたいものだ。