半導体光アノードを用いた高付加価値酸化生成物の製造

摘要

クリーンで再生可能な水素を製造するための候補技術として可視光応答性半導体光電極を用いた水分解が盛んに研究されている．光電極による水分解では，粉末系光触媒による水分解と異なり，バイアス電圧を印加できる，また水素と酸素を分離生成できるという利点がある．WO3やBiVO4などのn型半導体を光電極に用いる場合，光励起により半導体上で酸化反応が進行し光電流が生じる．酸化反応としては，水分解による水素製造という観点から水の酸素への酸化が主に研究されているが，最近，WO3光アノードの強い酸化力を活用することで酸素に代わる酸化生成物が得られることが報告された．本稿では，WO3光アノードを用いた高付加価値酸化体の生成について紹介する．