伝統産業の新しい活路を目指して－「光重合性含漆塗料の開発とその応用研究について」

摘要

現代生活の中で漆を塗った製品に触れる機会としては、お椀、箸、重箱、茶托、銘々皿などの生活用異が一般的である。 時代を遡ると漆が保護と美観を兼ねた塗料として、建築塗装や車両の防錆など広範囲に渡って利用され、漆万能といわれた時代もあった様に聞いたことがある。 しかし、近年の傾向は生活様式の近代化にともない、日本的生活習慣が変貌し、漆製品の需要が減少するとともに生産者や原料の「漆」そのものも消失されつつあるのも事実で、地方産業の急速な衰退を招きかねない状況にある。 この原因として、化学塗料の台頭が大きく影響を及ぼしていることもひとつと考えられる。 消費者ニーズに対応する為のスピード、コストが強く求められる中、漆製品の製造工法は時代の要望に対応できない状況になっていったものと推測される。