シミュレーション·ソフトの動向（12）--鋳造·熱処理シミューションソフト動向のまとめ

摘要

以上に見たように、熟練·経験·ノウハウ·試行錯誤に依存する従来の鋳造方案設計や鋳造·熱処理プロセス設定がコンピュータシミュレーションの導入によって工学的な制御へと急速に進化しつつあることはあきらかである。 その効果として量産品の不良低減·コスト低減もさることながら、試作期間の短縮と試作コストの低減効果が異口同音に強調されている。 コンピュータの導入は一見すると熟練を不必要にし、製造技術の海外流出などを促進するかのように思われるかもしれないが、必ずしもそうではない。 なぜならこの分野ではソフトそのものの進歩と同時にその使いこなし技術がきわめて重要だからである。 本シリーズの各報告からも見てとれるように、使用側は与えられたソフトを過信することなく、その使いこなしに工夫を重ねており、またソフト開発側と使用側の連携が非常に密接で開発側は使用側のニーズをよく把握している。 これはおそらく海外に見られない日本の業界構造の強みであり、したがってCAEは日本の鋳造技術のさらなる発展に大いに貢献するにちがいない。